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赤外線ランプヒーター

驚異のハイパワーで“ガス燃焼式”から“電気加熱”へ

エジソンが京都の竹から採取した細い繊維を炭素化し、これを真空中で通電した白熱電球を発明したのは1879年、今から130年以上も前のことです。可視光線は数パーセントに過ぎず、供給したエネルギーのほとんどは赤外線(熱)となって放出され、極めて発光効率の低い光源でした。しかし、ガスや油の燃焼により発する「灯り」を利用していた当時としては電気で灯る光源は画期的でした。そして今、進化したこの管球製造技術で「光」ではなく「熱」に目を向け開発されたのが、オレンジヒート®(赤外線カーボンランプヒーター)です。高純度炭素繊維の薄板を耐熱性の高い石英ガラス管に不活性ガスと共に封入した、まさに「ランプ」であり、材料こそ異なりますが基本的な原理や構造はエジソンの白熱電球と変わりません。

カーボン発熱体(フィラメント)は千数百度までの高温設計が可能で、これにより高出力、高効率の赤外線カーボンランプヒーター オレンジヒート®が誕生しました。抵抗体への通電により発生するジュール熱は極めてシンプルに得ることができ、出力、形状などの「設計自由度」も高く、ガス加熱方式に比べ「エネルギー効率向上」「安全性向上」「作業性向上」「職場環境改善」「CO2削減」など多くの成果を生みだします。

  • フィラメント 非通電時 フィラメント例 非通電時
  • フィラメント 通電時 フィラメント例 通電時

赤外線ランプヒーターの種類

「赤外線ランプヒーター」は、世界が注目する次世代のクリーンエネルギーです。
お客様の用途やご要望に合わせて、1本からオーダーメイドで設計製造致します。
複数のヒーター管を筐体に組み込んだ加熱器及び制御板の設計製造も致します。お気軽にご相談ください。

オレンジヒート®(赤外線カーボンランプヒーター)

純炭ヒーター®

ピュアタンヒーター®
特許第4614267号

高純度カーボン薄板を独自技術でフィラメントに加工し、これを高度な管球製造技術により、良質な石英ガラス管に不活性ガスと共に封入した単管タイプのヒーターです。

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高出力カーボンヒーター

高出力カーボンヒーター

複数本のピュアタンヒーターを太い石英ガラス管に不活性ガスと共に封入し、単位面積あたりのエネルギー密度を高くした高出力の二重管タイプのヒーターです。

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ミラヒーター®

ミラヒーター®
特許第4939961号

ピュアタンヒーターと反射板を太い石英ガラス管に、不活性ガスと共に封入した、二重管タイプのヒーターです。いつまでも反射板が汚れず酸化もしないので反射効率の低下がありません。

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遠赤黒膜ヒーター

遠赤黒膜ヒーター

各種ヒーターの石英ガラス管表面に、赤外線放射膜加工を施し、カーボンフィラメントの光の透過を防ぐと同時に遠赤外線を効率よく放射します。単管タイプ、二重管タイプとも製造可能です。

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遠赤黒膜ヒーター

反射白膜ヒーター

各種ヒーターの石英ガラス管半面に、赤外線反射膜加工を施し、一方方向に対して遠赤外線を効率よく放射します。単管タイプ、二重管タイプとも製造可能です。

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その他の赤外線ランプヒーター

石英管ヒーター

石英管ヒーター

不透明石英管にコイル状に加工した鉄クロム線を入れた、遠赤外線領域のヒーターです。
内部は密閉せず空気の流通があります。

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ハロゲンヒーター

ハロゲンヒーター

透明石英管に花巻状に加工したタングステンフィラメントを不活性ガスと共に封入した設計自由度の高い、近~中赤外線領域のヒーターです。

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コルチェヒーター®

コルチェヒーター®

透明石英管に細いコイル状に加工したタングステンフィラメントをリングサポートを介して不活性ガスと共に封入した設計自由度の高い、近赤外線領域のヒーターです。

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オレンジヒート®(赤外線カーボンランプヒーター)の主な特長

  • カーボンの電気抵抗は負特性(低温時ほど抵抗値が大きい)のため、
    電源投入時の突入電流(瞬間的な大電流)が発生しません。※定格電流の約60%(フィラメント温度1,000℃)
  • カーボンフィラメントの色温度は備長炭とほぼ同じで放射効率が優れています。
  • 温度レスポンスに優れているため、迅速できめ細かな温度制御が可能です。※起動・停止とも数秒以内
  • 高純度石英ガラス管は熱衝撃に強く、膨張係数が鉄の20分の1程度と小さいので点灯中に水がかかっても破損しません。
  • 石英ガラス管内には不活性ガスが封入してあるので酸化せず長寿命です。※8,000時間以上(ヒーター単体、連続通電での値)
  • 封止部以外は1,000℃程度の環境でも使用可能です。
  • 点灯方向は自由に設計が可能です。※設計によっては制約される場合があります。
  • 石英ガラス管封止のため、ガス等の排出がなく、熱源としてクリーンであり、真空中でも使用可能です。
  • 電気容量に対して小型軽量です。

熱移動の3原則

熱が何によって運ばれるかで伝導・対流・放射に分かれます。熱伝導は物質が、熱対流は流体(気体・液体)が、熱放射は赤外線(電磁波)が熱を運びます。熱は高温側から低温側へ伝わっていきます。両者の温度が等しくなると、熱移動(伝熱)しなくなります。これを熱平衡といいます。

    • 熱 伝 導
    • 物質の一部を加熱すると、その熱は物質内で徐々に低温側へ移動します。
      熱は熱伝導率の高い物質ほど早く伝わり、気体<液体<固体の順に大きくなります。
      金属は熱が伝わりやすい物質ですが、その種類によっても大きな差があります。
    • 熱 対 流
    • 熱が、温度差によって生じた流体(液体や気体)の移動によって運ばれる現象のことです。液体や気体は、温度が上昇すると膨張し密度が小さくなり軽くなるため上昇していきます。そこへ、周囲の低温で密度が大きく重い部分が流れ込むことで循環が生じ温度が上昇します。一般に気体(空気)は炉内、液体は容器内で加熱します。
    • 熱 放 射
      (熱輻射)
    • 熱が周りのものより温度の高い物体から放射された赤外線(電磁波)によって伝わる現象のことです。光と同じように物質に対して反射、吸収、透過に分かれます。吸収された赤外線が物質中で直接熱になります。したがって、加熱のために炉や容器の必要がありません。ピュアタンヒーター®は、高温度の放射熱を利用した赤外線ランプヒーターです。
      光(赤外線)の反射・透過・吸収 光(赤外線)の反射・透過・吸収

電磁波の種類と波長領域

赤外線ランプヒーターは、赤外線の放射波長と放射強度で、効率の良さが決まります。被加熱物の特性に適したヒーターを選定することが重要です。

電磁波の種類と波長領域

各種赤外線ランプヒーターの放射領域

ヒーターの種類 フィラメント フィラメント温度 放射率 赤外線放射領域 寿命
石英管ヒーター ニクロム線 800℃ 70% 遠赤外線 5,000h
コルチェヒーター® タングステン 2,600℃ 10~40% 近赤外線 8,000h
ハロゲンヒーター タングステン 1,300℃ 10~40% 近~中赤外線 8,000h
ピュアタンヒーター® カーボン 1,100℃ 85% 中~遠赤外線 8,000h
  • ※フィラメント温度は代表値です。 ※赤外線放射領域は、フィラメント温度により変化します。
  • ※寿命はヒーター単体、連続通電での値です。使用環境により増減いたしますので、実使用状態でのご確認をお願いいたします。

材料によるピーク吸収波長帯

材料名 吸収波長域 赤外線名称 対象ヒーター
金属系 1.0μm~2.0μm 近赤外線 コルチェヒーター®・ハロゲンヒーター
樹脂系 2.0μm~4.0μm 中赤外線 ピュアタンヒーター®・ハロゲンヒーター
水乾燥系 2.0μm~4.0μm 中赤外線 ピュアタンヒーター®・ハロゲンヒーター
ガラス系 4.0μm~ 遠赤外線 ピュアタンヒーター®・石英管ヒーター
セラミック系 4.0μm~ 遠赤外線 ピュアタンヒーター®・石英管ヒーター
  • ※吸収可能域は参考です。実際の測定によりベストのヒーターを選定することをお勧めいたします。
  • タングステンとカーボンの放射率

    タングステンとカーボンの放射率
    • ※放射率とは物体が熱放射で放出する光のエネルギー(放射輝度)を同温の黒体が放出する光(黒体放射)のエネルギーで割った値。物質により、また波長により異なる。一方、ある波長の光が物体に当たった時、その光のエネルギーの内、物体に吸収されるエネルギーの割合を吸収率という。
    • ※キルヒホッフの法則:物体の放射率と吸収率は等しい。
  • 石英管(GE214)の透過率

    石英管(GE214)の透過率
    • ※当社は、赤外線透過率の最も優れた石英管を使用しています。
  • カーボンとタングステンのエネルギー強度の比較

    カーボンとタングステンのエネルギー強度の比較
    • ※基準温度は黒体で石英管の透過率補正なし。
    • ※カーボンとタングステンのエネルギー強度は放射率および石英管の透過率を補正した値。
  • フィラメント温度によるピュアタンヒーター®のエネルギー強度

    フィラメント温度によるピュアタンヒーター®のエネルギー強度
    • ※ウィーンの変位則:黒体からの放射のピーク波長は温度に反比例する。
      λmax=b/T
      T:黒体の温度(K) b=2.898×103 λmax=ピーク波長(μm)
    • ※ステファン・ボルツマンの法則:放射エネルギーの強度は物体の温度(K)の4乗に比例する。