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お知らせ
- 導入事例
2016.01.19
HIGH POWER金型加熱器
溶かしたアルミを金型に流し込み、冷やして固めた製品を取り出す鋳造工程では、製品の品質安定化と金型保護のため、あらかじめ金型を加熱する必要があります。
今回、スズキ株式会社 相良工場のエンジン鋳造部品を生産する鋳造機の金型加熱工程において、従来のガスバーナー式加熱から高出力の赤外線ヒーターを利用した金型加熱器に変更しました。この導入により従来のガスバーナー式加熱と比較し、大幅な省エネルギーおよび現場作業の省力化と安全性、生産性の向上を図ることができました。
平成27年度 省エネ大賞(省エネ事例部門)資源エネルギー庁長官賞受賞
テーマ:鋳造工場における赤外線ヒータ式金型加熱器の導入による省エネ・省力化
目 的
▪エネルギーロス削減
▪昇温時間の短縮
▪温度分布の均一化
▪エネルギー効率の向上
▪作業者が使いやすいものにしたい
課 題
エネルギー使用量が多い
主流となっていたガスバーナー式加熱ではLPガスを多量に消費する上、燃焼を維持するためエア供給が必要
作業効率が悪い
火力調整は作業者任せで均一化が難しい
製品品質にバラツキがある
製品品質に合わせて火炎の火力調節を必要とするため不均一
現場作業の安全性
直火を扱うため火災リスクがあり危険
昇温に時間がかかる
金型の昇温には3時間を要していた
効 果
省エネ効果
▪LPガス使用量、エア使用量ゼロ
▪設定温度までの昇温時間を72%短縮(180分→50分)
▪金型加熱に要する総作業時間を32%短縮(4,746時間/月→3,211時間/月)
▪鋳造工程のエネルギー使用量は58%削減(原油換算20.8㎘)
▪CO2排出量を62%削減(77.5t-CO2/月→29.5t-CO2/月)
省力効果
▪温度制御の自動化により、作業者の温度監視・調整作業が不要に
▪金型の突起部の過熱により溶損するリスクが大幅減
▪溶損点検・補修作業の廃止
▪金型に施す塗型剤の寿命が700ショット→1,200ショットに長寿命化(過熱による著しい焼損の防止)
▪ガスバーナーの熱による金型本体や周辺部品トラブルの解消
品質向上効果
▪赤外線ヒーターによるムラのない加熱と温度制御の自動化により、製品良品率が飛躍的に向上
安全性の向上
▪直火を扱うことがなくなり、火災リスク低減
▪夏場の熱気抑制(輻射熱が少ないため)
▪暑さ指数の改善(29℃→27℃)作業者の集中力維持につながった
エネルギー使用量が多い鋳造工程を改善
鋳造工程では鋳造を開始する前に、製品の品質安定化ならびに金型保護を目的に金型を予熱する必要があります。
今回、金型予熱における「加熱時間の短縮」「エネルギー使用量の削減」「作業環境の改善」という3つの課題を解決するため、トライ&エラーを繰り返し、2014年3月、目標数値をすべてクリアし、世界のどこにもない赤外線ヒーター式 HIGH POWER金型加熱器を開発いたしました。
時間当たりの昇温コストがガスバーナー式と比較して約1/4と非常にエネルギー効率がよく、かつガスバーナー式加熱に代替可能な高出力であるという点から、電熱部にオレンジヒート®の採用が決定しました。
高出力・高効率のオレンジヒート®を使用した加熱器はガス燃焼式以上の加熱性能を有します。これにより、省エネ性だけでなく、加熱時間短縮、均一加熱、温度制御が容易、安全性向上、作業環境の改善、金型メンテナンスの低減、製品不良率の低減、設置が容易、CO2削減など、大きな効果が実証されました。
エネルギー使用量の削減
▪LPガス使用量、エア使用量ゼロ
▪設定温度までの昇温時間を72%短縮(180分→50分)
▪金型加熱に要する総作業時間を32%短縮(4,746時間/月→3,211時間/月)
▪鋳造工程のエネルギー使用量は58%削減(原油換算20.8kℓ)
▪CO2排出量を62%削減(77.5t-CO2/月→29.5t-CO2/月)
大幅な省力化
ガスバーナー式では、作業者が温度を監視しながら燃焼レベルを調整する必要がありましたが、赤外線ヒーターによる温度制御の自動化により不要になりました。また、立ち上げ加熱や休憩時に保熱状態を保つため、金型の突起部が過熱となり溶損するリスクも大幅に減り、始業時や1日3回行っていた溶損点検・補修作業を廃止できました。
さらに、従来は金型に施す塗型剤の寿命は鋳造回数700ショットが限界でしたが、過熱による著しい焼損を防止でき1,200ショットに長寿命化。ガスバーナーの熱による金型本体や周辺部品のトラブルもほぼ解消され作業員の省力化を図ることができました。
良品率の向上
鋳造製品は温度分布が品質に大きな影響を及ぼします。ガスバーナーの場合は、温度分布にムラが生じていましたが、オレンジヒート®はムラなく加熱でき、さらに温度の自動制御とも相まって、製品の良品率が飛躍的に向上しました。
職場環境の改善
ガスバーナーでは直火を扱うため火災リスクがありましたが、オレンジヒート®への切替えでこれを解消。輻射熱が少ないため、夏場の熱気も抑制され暑さ指数が改善。作業者の集中力維持につながっています。
定格電圧 | 三相 AC200V |
定格消費電力 | 18kW |
一次最大電流 | 52A |
発熱体 | オレンジヒート® 200V 3kW×6灯 |
発熱体温度 | 1,250℃ |
最大エネルギー波長 | 1.9μm |
有効発熱長 | W200mm×L300mm |
本体材質 | SUS304 |
電源ケーブル | キャブタイヤコード 黒 14sq 4芯(1本アース線) |
重量 | 約9kg |
※各種情報は2021年1月時点のものです。